おやじ「ぎゃははは!おいもっと酒もってこーい!」
タコ踊りをしながら酒瓶を振って騒いでるこのおやじは、アルコール依存で死んでしまい、現
在天国で生活している。
ここは天国。天国は、死んで閻魔様のお裁きを受け、素直に生きていたなと下されたら行ける
ところである。アルコール依存は正直に生きていたとは到底思えないが、なぜ来れたんだろう
?
それはともかく。天国もそう甘い場所ではない。天国には過ごしている全員が快適におれるよ
う、迷惑をかけたり、悪いことをすると神様からきついおしおきが下ったり、天国から地獄に
追放されてしまうのだ。これまで地獄に追放されたり、おしおきを受けた人はおらず、お叱り
を受けただけだが、まさかおやじがあんな目に合うとは・・・。
「そこに正座しなさい。」
神様はいかにも叱るぞみたいな口調で言った。
「へいへい!なんでごぜーましょう?」
少しビクビクしながらも、神様は美人だし着物からあふれる谷間が拝めて悪い気分でないおや
じ。
「お前は天国だからって酒を飲んで騒ぎ過ぎじゃ。人様のことを考え、もっと静かに酒を嗜み
なさい。」
「そうしたいんですがね神様。酒が回るとどうしても興奮するのであります。」
「なら、誰もいないところで飲めばいいでしょう。ここはみんなが安らかに過ごすところです。
あなたの酔っ払いには皆が迷惑しております。」
少し考える顔をするおやじ。
「わかりやした神様。おしおきも地獄行きも嫌ですし、ここは言う通りにしてひっそりしたと
ころで飲みますわ。」
「うむ。話を聞いてくれて感謝する。」
しかし、それは出まかせであって、今夜さっそく酔っ払って暴れまくった。
「このばかものが!あれほど誓ったであろう!」
神様はものすごい形相でお叱りになる。
「し、しかしですね。ちゃーんと向こうの奥の奥で酒瓶を開けて飲んだんですよ。そしたら血
が上っていつん間にか。」
神様はおやじの言い訳など目に触れず言った。
「もうあなたはここにはいられません。おしおきをして更正する必要があるようですね。」
「ええっ!お、おしおき?」
おやじはついにかあと、慌てた。
「お酒をやめて、アルコール依存を治すことが第一です。そのために、今から。」
「今から?」
「人間界に行き。」
「に、人間界?」
その瞬間、神様はニッと笑い、おやじの胸ぐらを片手で取って下に投げ飛ばした。
「小学生にでも取り憑いて依存症なおしてきやがれ!はーっはーっはーっ!」
「うわー!」
おやじは叫び声を上げながら地上へ落ちていった・・・。